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 いよいよ開催が近づいてきたエルズベルグロデオ。彼にとって4回目の挑戦であり、彼はこれを最後の挑戦とする予定なのだそうだ。初出場でいきなり13位(しかも不利な後方スタートからだ)、二年目に5位、そして3年目に7位とすぐに上位の常連となった実力者の彼だから、今年はきっとさらにパワフルな走りを見せてくれるはずだ。しかも今年は正式にKTMファクトリーライダーの扱いというから素晴らしい。全国各地でパブリックビューイングが行われるので、そこでみんなで見て盛り上がれるといいなあ。

 タイチは、決して体格に優れているわけではない。手足が長いヨーロピアン勢に比べこうしたエクストリームエンデューロは不利なはずなのだが、それでもこれだけ上位に食い込めるのは、世界選手権トライアルで鍛えられたテクニック、メンタリティ、すべてをフルに発揮しているからだろう。手足の長いライバルたちだってそうした面でタイチに負けているとは思えないし、世界選手権の現役や現役に近い選手が多いことを考えればタイチはじつに驚異的な善戦をしているわけだ。きっと、ヨーロッパに移り住んでシリーズ参戦すれば世界のトップに立つことも夢じゃないと思う。スポットではなく、KTMの正式なファクトリーライダーとして彼の望む条件でオファーされたら(されてるのかもだけど)いいのになあと常々思っている。

 さておき、じつは僕もエルズベルグロデオに「出場」したことがある。こう言うとみんな「えっ、なにいってんだコイツ」という顔で見るのだが、じつは日本人として初参加したのは僕だったりする。とはいえ、タイチの闘う「レッドブル・ヘアスクランブル」ではなく、プロローグだけで競うタイムトライアルだったけどね。

 エルズベルグロデオは、言うまでもなくハードなエクストリームセクションで競う「レッドブル・ヘアスクランブル」がメインイベントだが、じつは4日間にわたるイベント期間中にいろんなイベントやレースを開催しているのだ。今年のプログラムに入っているのが、ケルヒャー・ロケットライド(ヒルクライムイベント)、プロローグラン、FMXパーティ、そしてストーム・イン・アイゼンネルツ。これ以外にも、会場下の町では連日のようにクラブイベントなども開催されている。

 レッドブル・ヘアスクランブルの予選を兼ねているプロローグは、じつはそれ単独での大会でもある。バイクのジャンルごとにクラスが設定されているので、ハーレーや4発のストリートバイク、スクーターとじつは多種多彩な参加者が走っているのだ。コースは一部深い水たまりやガレ場もあるが、基本は整備されたブルドーザー道なので、そうしたバイクで走れてしまうのだ。僕が参加したのはこれで、KTM950SUPER ENDURO Rに乗ってキングクラッセ(現在のツインシリンダークラス)に参加したわけだ。

 日本からわざわざ行くというのはあまり現実的ではないけど、でもエントリフィーはロケットライドで49ユーロ、プロローグで119ユーロとさほど高いわけではない。プロローグだけならナンバー付きのビッグバイクでも走れるので、もしオーストリアに行く機会がある人なら、出場を考えてみてはどうだろうか? 標高1400mまで一気に駆け上がる全開ダートは最高に面白い! プロローグには毎年1000〜1500人くらいのライダーが参加するが、じつはこうしてプロローグだけを楽しみに参加しているライダーもかなりの数なのだ。

 また、バイクとクワッドで開催地であるアイゼンネルツの町を「練り歩く」ストーム・イン・アイゼンネルツも凄い。参加者と観客たち、2000人ほどライダーたちがバイクとクワッドで狭いヨーロッパの市街をパレードするイベントなのだが、街中でウイリーするわ転けるわ焼き付くわ(笑) で、世界にこんな町があるのかと驚くこと請け合いだ。

 ウィーンからはちょっと遠いが、ザルツブルグからはクルマで2、3時間ほど。ザルツブルグはレッドブルの本拠地なので、これまでレッドブルのさまざな挑戦で使用された機材が並ぶ美術館的な「ハンガーセブン」もあるし、1時間くらい北にいけばKTMの本社もある。この季節のオーストリアは新緑がとてもきれいなので、バイクをレンタルしてツーリングがてら見に行く……なんて出来たらきっと最高だ。さらにプロローグにも参加しちゃったりして! 

 今年で最後なんて言わないで、僕らがそうして応援に行けるときまで、もうちょっとタイチが頑張ってくれると嬉しいんだけど。おっと、ほかのエクストリームイベントにも出るなら、そっちでもいいか。ルーマニアかな? スペインかな? それともイタリア?

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