「マディ職人」井上眞一、SUGO総合優勝の秘密

「秘密や、自分の中で決めていることはたくさんあります」

SUGO×雨のレースと言えば…。そう、確実に好成績を収めるライダーがいる。K.R.Tのベテラン、IA2を走る井上眞一（34歳）だ。多くのライダーが両ヒートまとめられないほどの悪コンディションのなか、2/2位で自身初の総合優勝を獲得。そこには「マディをチャンス」と捉えるポジティブさがあった

 

DS：IA2総合優勝おめでとうございます。
「ありがとうございます。たぶん記憶の中ではIAで総合優勝は初めてです。ヒート優勝したことは何回かあるんですけど、片方落としたりしてまとめることができていなかったので。正直嬉しいですね」

DS：優勝も狙ってたんじゃないですか？
「こういう路面は昔から得意だったので、優勝というよりは表彰台に上がる気持ちで挑んだんですけど、両ヒートまとめられましたし、結果オーライです」

DS：スタートでアウトのグリッドを選んでいましたね。アウトはどうなんですか？
「自分は昔からけっこうアウトを使うんですけど、特に理由はないです。ただ自分のなかで決めたことがあって…、まあ内緒にしときます（笑）」

DS：なぜマディがそんなにうまいんですか？
「みんなによく聞かれるんですけど、うまいのかどうかは自分でもよく分からないんです。ただ雨が降ったらだいたいのライダーが『やだな〜、雨か〜』ってなると思うんですけど、自分の場合はそういうのがあまりなくて、昔からネガティブに考えないですね。逆に雨が降ったらチャンスだと思って挑んでるので、そういう『気持ち』から来る部分も大きいかなと思います」

DS：意識的に雨の練習をしているということはあるんですか？
「いや、普段は全然雨の日は練習してないですよ。ただ雨の日にするセッティングだったり、自分のゴーグルなどの対策だったり、調整するところはありますけど、でもそれくらいですね」

DS：「マディがうまくなりたい」という人にアドバイスなどがあれば…。
「正直、いっぱいあります。こうしたらうまくなるというか、ラクに走れる、とかたくさんあります。でもすいません、まだ言わないです（笑）。自分が現役で走っている間は内緒にしておきます。ただポイントはたくさんありますね。コレをしたら走りやすくなる、スムーズになる、というか」

DS：それはライディングに関してですか？
「ライディングの部分もあるし、セッティングの部分もあります。さっきも言ったギア類の準備というか、そういうものでも色々あります。すでにしているライダーもたくさんいると思うんですけど、僕も自分のなかで色々持っているので」

DS：いつか教えて頂ける日がありましたらぜひ！
「けっこういいヒントになると思います。今はまだ秘密です（笑）」

DS：今回のレースでは、みんなドロで目をやられていましたね。
「僕は、ヒート1もヒート2も途中でピットインして、ゴーグルを換えました。何よりも視界が一番大事なので」

DS：なるほど。それは作戦として最初から決めていたわけですよね？
「はい、そうです。決めてました。やっぱりこういう路面の日ってゴーグルを外して前からドロを被ってしまうと全然ペースが上がらないので。3年くらい前、九州のレースでゴーグルを外した直後に石を食らってしまったこともあって…」

DS：ピットインは何秒くらいのロスを想定しているんですか？
「けっこうロスするんですよ。だいたい15〜20秒くらいだと思うんですけど、そのロスをしてでも、そのあとのレース展開を考えると、視界を保ったほうがベースを上げられます。今回もピットインのタイミングでけっこう抜かれちゃいました」

DS：25分のレースの（※SUGOは5分短縮だった）、どのくらいのタイミングでピットインしたんですか？
「ヒート1は、15分くらい。ヒート2はかなり序盤の2〜3周目くらいでピットインしました。序盤でかなりドロを食らって、ロールオフのロールが引けなくなったんで、このまま走るくらいならピットインしようと思って。たぶんその時に7位くらいまで落ちて、ラスト2周くらいまで5位だったんですけど、最終的に2位まで上がれました。視界キープは大事だと思いますね。やっぱりゴーグルは外したくなりますけど、我慢我慢ですね。取った瞬間は一瞬だけ視界が開けるんです。単独だったらいいんですけど、混戦だったら絶対にドロを被りますからね」

DS：SUGOの雨と言えば井上、と言われ、本当に結果を残すあたりさすがです。
「雨が降ったら嬉しいでしょ、ってみんなに言われて、なるべく嬉しく見えないように『いやー全然ですよ〜』とか言ってたんですけど、でも正直、チャンスだと思っていましたよ」

DS：今日はおめでとうございました。