X-GAMESのゴールドメダルを3回、2013年のX-Fighters大阪では日本人として初の優勝。その輝かしいまでの経歴を思わせないほど謙虚さ。世界で戦うTAKAが、長時間インタビューに答えてくれた。

(※本記事は本誌ダートスポーツ9月号にて掲載したものに加筆修正したものです)

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「エイゴさんみたいな人は世界中見てもいないですよね」

DS:改めて、佐藤英吾はどんな存在だったか教えてくれますか?
TAKA:そうですね…。あんな人、いないすよね。あんなに色んな人の気持ちを分かって、FMXに情熱を持って、仲間と探れる。仲間でコントロールできる人ってやっぱいないですよね。僕なんかはやっぱりライダーとして乗るのが優先で、例えばイベントの設置とか裏背景とか分からないんですけど、エイゴくんは唯一、両方できる人でした。あと、考え方がすごい。例えばイベントであんまりお客さんいなくて、外国のライダーとかでもちょっと手を抜いたりするじゃないですか? 風強いし、とか。でもエイゴくんは全開で攻めるんですよ! で、僕気になって一回聞いた事あるんです。なんでそんなに全開なんですかって。そしたら「お客さんがひとりでもいたら、その人に対して失礼になるから。俺は自分の技を全部見せたい」って。もうすげーなーって。俺もそうしたい……けど、この風はムリっすわ! 危ない危ない!! ムリっすよ! って(笑)。世界中見ても、そんなライダーいないです。口で若手に教えるとかじゃないんですよね。なんも言わないんですけど、感じるんです。背中で語って、後輩が勝手に感じるんです。ガーガー言う人じゃなくて、俺も頑張ろうって思わせてくれる。だからそういう姿勢が世界に認められたんだと思います。ライバルを称える心の大きさというか、イベントで対戦相手に拍手送るくらいの。例えば僕なんかアメリカで成功して、言ってみればギクシャクしてもいいくらいだと思うんですよね、普通なら。でも逆に、成功をホンマに喜んでくれる。僕はいつも海外のイベント終わったらエイゴくんにベッタリでしたよ(笑)。海外でエイゴくんに会うのが楽しみで。エイゴくんも絶対疲れてて寝たいのに、優しいから付き合ってくれて。ホンマ尊敬しかないですよね。でも一番悲しいのは、絶対生き残ろうなって話してたから…。ジム・マクニールが亡くなった時に「俺らは絶対生き残る」って。そういうの考えたらね、自分もどこまでやるべきか、考えるじゃないですか…。んー、あかんあかん、全開全開。サトウエイゴ魂でいかんと(笑)。

DS:スランプになった時はどうするんですか?
TAKA:ひたすら練習するか、ちょっと距離を置くか、ですね。わざと2週間くらい乗らないようにしたり。そうすると、またバイク乗りたくなるんですよ。バイクが楽しくなる。スランプの時って、なんかのコンテストに向けて練習しすぎてる時なんすよね。誰かのことを考えてる時、こいつには負けたくない、とか。そういう時って向上心も技の伸びもなくなるんで、一番いいのは、内心は心配ですけど、あえてわざと違うスポーツをしますね。BMXやったりモトクロスしたり。実は2008年がそうだったんですけど、何してもうまくいかなかったんですよ。2007年がたまたま2位入ったり5位入ったり。2008年は2年目のアメリカで、1年目の俺を超えたいって焦って、転んで、大きいクラッシュもして。それでも毎日乗ってたんですよ、ひたすら。そしたら2009年に、何も変えてないのに、ある日突然ふわって(笑)。あー、楽しいって! だから義務として乗らないことですかね。だって本来は遊びですよ、オモチャです。今YZ125に144cc組んで遊んでるんです。真っ黒のフレームで。本番車よりカスタムしてます、60万円くらい(笑)。3日前もペリスに行ってきました。ジェイク・ワイマーとかもいて。はっやい速い!

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「アメリカの家は、日本の本気のライダー達に貸したい」

DS:話は変わりますけど、奥さんおキレイですね!
TAKA:おキレイなんです(笑)。フランス人で。名前はソリンって言います。仲のいいカメラマンのいとこで、モトクロスとか全然知らなかったんですよ。「FMX? なんやそれ」くらいの(笑)。変なところで厳しくてスジ通さないとアカンっていうか、それがまたいいんですけど。まあ俺と同じとこで怒るタイプやから、ケンカになったらキレイにブチ当たるっす(笑)。でもFMXが好きでライダーについてくるような女の子じゃなかったし、だから選んだんですけどね。彼女はけっこう根性座ってて「大丈夫や、いけるいける」って。「お前、人ごとやと思って!」ってなるんですけど、ホンマ助けてもらってます。彼女ね、こう見えて日本食も好きなんですよ、サバとか(笑)。めっちゃ意外でしょ? だから日本に帰って来たときはわざとおかんに昭和的なメシにしてもらってます。で、僕らアメリカのメシが嫌いなんで。もうとにかくレベルが低くて。そもそも野菜とか、素材がまずいんすよ。トマトも味がしない。ソリンも1〜2時間かけてフランスの本格的な料理作って…、僕からしたらウマイんすよ。でも「チっ!」って(笑)。ホンマはこんなんじゃないねん! みたいな。そういうのでよく怒ってますね(笑)。

DS:今後については?
TAKA:スポンサーさんがアメリカにおらんようになったら、フランスに住もうと思ってます。ヨーロッパでショーを周りながらやっていきたいなって。今アメリカはショーもコンペも減ってしまってますからね。あとはもっと奥さんの時間を作ってあげたいです。今は僕の時間で連れ回しているので。そしたらアメリカの家はレンタルする予定です。モトクロスを本気でやりたいっていう日本の方はぜひ! できれば将来は、MXGP行きたいライダーにはフランスの家を貸して、AMAで頑張りたいライダーはアメリカの家貸して、って感じで拠点になれば嬉しいです。世界中に居心地がいい場所を作っていきますんで。次の世代に向けて。最後、頑張れたら日本の田舎にも家が欲しいですね〜。
DS:モンスターエナジーについて、聞かせて下さい。
TAKA:最高ですよ。ライダーに対するケアがハンパじゃない。契約ですか? 1年でだいたい安めのマンションが買えるくらいです。この厳しい業界で、ホンマありがたい。なんにしてもスーパークロス、日本でやりたいっすね。モンスターに言ってみようかな(笑)。最低3年連続でやるプランじゃないとあかんすよね。やりたいなー、スーパークロス!

DS:今日は本当にありがとうございました!
TAKA:あ、もういいんですか? まだまだ喋りますよ(笑)

 

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東野貴行
TAKA HIGASHINO
1985年3月13日生まれ(29歳)/大阪府出身
2010 Dew Tour ゴールド/Red Bull XRAY ゴールド/ X-GAMES Best Trick ブロンズ
2012 X-GAMES Best Trick シルバー/ X-GAMES Freestyle ゴールド
2013 X-GAMESブラジル Freestyle ゴールド/X-GAMESロス Freestyle ゴールド/ X-Fighters OSAKA 優勝

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