整備といってもその項目は多種多様。
誰にでも出来る簡単なものから、専門性の高い重作業までいろいろあります。

まぁ個人で出来る作業にもその人のスキルにあった難易度がありますが、比較的『初級メニュー』として紹介される事が多いのがプラグ交換かと思います。(あとオイル交換とかね)

でも。
工具の販売店をやっていると簡単なハズのプラグ交換でも相談というか質問がくることが多いんですね。
ってなわけで今回はそんなプラグ交換に必須のプラグレンチのお話でもしてみます。

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現在、一般的なバイクに使われているプラグのサイズは4種類。(少し特殊な13mmとかまで混ぜれば6種類くらいあります)
これって実はバイク歴の長いベテランライダーさんでも正確に把握出来ているって人は少ないんですね。

なんだか世間では「ちょー簡単」とか「誰でも出来る」とか言われてはいますが、最初の1歩のハードルがまぁまぁ高い作業なんじゃないの?と私は考えてます。
ですのでそんな実は誰にも聞けなかったり、よく分からなかった…なんてとこをババーンっと説明してみます。

 

自分の車両のプラグサイズを知りましょう

新品のプラグを購入する場合、プラグメーカーの早見表を見て購入すれば希望のプラグは入手出来ます。
よく分からなかったとしてもバイク屋さんに行って車輌名と年式くらい分かればなんとかなりますもんね。

でもでも、それを回すためのプラグレンチのサイズってどこにも書いてないんですね。(プラグメーカーの表にも載ってません)
Webで検索してみてもなかなか確信な情報って載ってないしここで困ってしまう人が結構います。

ここで一番手っ取り早くて簡単な方法は

『交換用に新しく買ったプラグのサイズを実測する事』

です。
プラグを新しく交換するために新品で買ったプラグをそのまま測ってしまえばいいんです。
アチコチ検索したり聞いたりするより簡単で確実ですね。

実測する場所はレンチを掛けるボルト形状のここ。

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ボルトの二面幅間長となります。
写真ではノギスで正確に測定しておりますが、定規とかメジャーのようなモノで測ってもらってもOKです。
(プラグ単体なら測定もそんなに大変じゃないと思います)

先述した基本的なプラグサイズの4種類は以下の通り。

・14mm (近年のKTMやYZの4st車両)
・16mm (大多数の4st車両に適用)
・18mm (一部トレール車両)
・20.8mm (2st車両全般&ミニモト)
※あくまでも参考です。自身で最終確認をしてください。

全てのサイズの対応工具を持っているのが理想ですが、せめて自分の車両に適合したプラグレンチくらいは持っていた方がいいと思います。

 

プラグレンチはちょっと細身がオススメ

格安の工具セットとかに入っていたようなプラグレンチ(ソケット)でも問題になる事はあまりないのですが…。
現代の最新設計のエンジンはプラグホールを狭めに作る事が多くなってます。

今どきのダートバイクでは2stとホンダ以外の4stエンジンの場合、DOHCを採用していてプラグが穴の奥の方にある形状になってますよね。
(ダートバイク以外でもそうですが)
この『穴』、つまりプラグホールがとても狭いんですね。

そうなると何が問題なのか。
適当に作られたプラグ用工具ではその狭いプラグホールに入らない場合があるのです。
ですのでべつに超高級工具を買えとは言いませんけど、きちんとした工具メーカーのプラグレンチなりソケットを揃えて欲しいと思います。

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ちなみに個人的にオススメはこのZ-EAL(Ko-ken)のクリップ式プラグソケット。
どうしても土の上での作業が多くなるダートバイクではマグネット式のプラグソケットは砂鉄を拾ったりして弊害が多いです。
また工具箱の中に入れておいて他の工具とくっ付いたり、最悪がマグネットが割れたりしますからね。

その点このZ-EALのプラグソケットは先述したプラグホールが狭いエンジンにもバッチリ適合しつつ、マグネットではなくクリップでパチっとプラグをホールドするので現場ですごく重宝します。

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実際にプラグを付けて逆さまにしてもこの通り。
サイズも最新設計のエンジンで増えてきた14mmをラインナップしてますので同シリーズで揃えるのも問題ありません。

あ、ちなみにKTMの14mmプラグ使用のエンジンではメインフレームが邪魔して汎用の工具はイマイチです。
この場合には純正工具で2段階に曲がる専用のプラグレンチが付属してますので、おとなしくそれを使うのが良いと思います。

ってなわけでおさらい。
4ストロークのダートバイクに乗ってるって人は……

  • プラグの種類があるので自分の乗ってるバイクのプラグレンチサイズくらいは把握しておきましょう。
  • プラグレンチなんて1個あれば充分なんだからちょっと良い工具を使ってあげましょう。

以上!

 

2ストロークのダートバイクには

と、ここまでは4stのお話。
でもエンデューロシーンを代表に今でも2ストロークのバイクが好きだ!って人もまだまだ多いと思います。(私も2st派)
そんなわけで2st車両のプラグレンチのオススメも書いておきますね。

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2ストロークのダートバイクは4ストロークの車両と違ってエンジンからプラグヘッドが飛び出ております。
これってつまり……プラグを回すのに真横からアクセス出来るって事なんですね。
そこでオススメなのがこのKTCから出ている2スト用のプラグレンチです。

これさえあれば出先で「あーやっちまったー」とエンジンをカブらせてしまってもタンクとか外す事なく。

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こんな感じで真横からレンチを差し込んでクルクルクルーっとプラグ交換が出来ちゃいます。

このプラグレンチの使い勝手はホントに優秀でして、長時間で難所も多いエンデューロレースではもちろん、ツーリング用にも必須の工具のひとつだと思います。
しかしJNCCの会場とかで出店している時でも「え、知らなかった」なんて人もまだまだいますのでぜひみなさんに知っておいて欲しい工具ですね。

またレースに出る場合には。

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こんな風にキャメルバッグのポケットにそっと差し込んでおくだけでリタイヤ率を大幅に下げる事も出来ます。
(あとでキャメルバッグの小さなポケットに入れておきたい工具特集もやりますね)

2ストロークの車両はプラグサイズが20.8mmの1種類ですので、サイズで迷う事はありません。
その分『いかに楽に作業するか』を考えてみましょうね。

●今回は個人的にオススメな(自分ならこれ買う)プラグレンチを紹介しましたが、もちろん自分で気に入ったモノを購入していただいてもOKです。
エイビットのWebページにはその他のプラグレンチも載っておりますのでチラっと見てみてくださいませ。
・工具専門店エイビット>プラグレンチ

 

 自分のトコのWebサイトでも日々いろんな工具を更新しております。
ブログももうちょい専門的なの書いてますので見てやってください。
Webサイト:https://www.abit-tools.com/ 

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この記事の著者について

エイビット ヤマタク
エイビット ヤマタク
工具店をはじめて25年とちょっと。
自身もダートバイクを乗り回しております。
お店は東北道羽生ICから車で5分。
JNCCなどの会場にも出店参加してますよー。