整備の中でも「叩く」という行為ってなんというか無骨というか粗雑というか、少し荒っぽい印象を受ける人も多いと思います。
実際アルミ部品も多く使われているバイクの整備だと叩いちゃダメって箇所も多いですし、叩くという行為自体がせっかく直しているのに壊す結果につながる可能性だってあるわけです。
でもプロの現場でこの『叩く』という作業は必須でして、だからこそ叩くための工具であるハンマーもこだわったモノがメーカーから提供されております。
そんなわけで今回はあまり話題になる事が少ないハンマーとその備品に関してのお話。
そもそもハンマーに種類があるの?
ガンガンと引っ叩くハンマー。
すぐに思いつくのは釘とかで板を打ち付ける金槌(トンカチ)ですかね。釘は鉄ですし強い力で叩かないといけませんから金槌は大抵鉄製になってます。
ちなみに建築とかでよく使う金槌と整備で使うハンマーには違いがありまして、それは先端が丸まってるかどうかの違い。
釘を打つ金槌は真っ直ぐに叩きたいので当たり面はフラットな形状をしております。
対して整備向けのハンマーは打刻で他をあまり傷つけないように、当たり面を少しだけ丸くしてあるのが特徴です。
ですので整備に使うハンマーの代わりに金槌使ってるって人はちょっとだけ気をつけてくださいね。
ってなわけで釘とかを打つ金槌と整備に使うハンマーが違うのは分かってもらえたかと思いますが、実は整備向け、特にアルミ部品の多いバイク整備ではオススメなハンマーがありまして。
それがプラスチックハンマー。
通称「プラハン」と呼ばれる先端が少しだけ柔らかいハンマーです。
例えばバイク整備でのハンマー使用の状況で多いのがシャフト系の打ち抜き&打ち込みです。
スイングアームを支えてるピボッドシャフトとかが分かりやすいですかね。
ああいった丸い棒状の部品で鉄のハンマーで考えなしにガンガン叩いてしまうと、少し開いてしまう(叩いた部分だけ太くなってしまう)んですね。
なのでプロメカさんはそういう部品をガンガン叩いているように見えて、実は結構慎重に叩いてたりします。
そしてそんな慎重かつ大胆に叩きたいような場面で人気なのがプラスチックハンマー、通称『プラハン』です。
相手の素材を傷めず、それでいて衝撃を伝えたい、ハンマーのカタチをしていますが打撃部分にはプラスチックが使われているので相手の変形を極力少なくするってのがプラハンでして、整備用ハンマーとしては鉄のハンマーよりも出番が多く個人的にもおすすめのハンマーです。
整備向けお勧めプラハン
で、そんなプラハン。
実はひと言にプラハンといってもその中にも種類が存在します。
基本的には打撃力をわざと落としてある柔らかめなプラハンですが、これだと整備時にちょっとだけ物足りない場面があるんですね。
そんな時にオススメしているのが『ナイロンヘッドハンマー』です。
このハンマー。
いわゆる一般的に言われているプラハンよりももうちょっと硬いんですね。
整備に使うハンマーとして打撃力は普通のプラハンでは物足りないけど、相手の素材は傷つけたくないって時にめっちゃ便利です。
もっとぶっちゃけてしまえば整備向けにハンマー買うなら鉄ハンマーとか買わずにこのナイロンヘッドハンマーだけ買っても充分な感じですね。
ハンマーサイズは大体3番か4番を買っておけばOK。
プロメカさんはもちろんハンマーを使い慣れてないサンメカさんにも超オススメの1本です。
しかしやはり「鉄ハンマーも欲しいんだよね…」って人もいると思いますので、そんな人にはこちら。
このハンマーは片側が『鉄』もう片側が『ナイロンヘッド』になっていて1本で使い分けが可能になってます。
いざって時の打撃力も欲しく、通常使用時の使いやすさも欲しいって人にオススメですね。
(それでもハンマーを使い慣れてないって人には普通のナイロンヘッドハンマーがオススメだと思います)
こんな感じでたかがハンマーと侮るなかれ、実は目的に応じて種類やサイズも豊富。
なおかつその人に合った、またその作業に合ったハンマーを選ぶというのは安全で確実な整備には欠かせないものなんです。
ちなみに余談ですがエンジンの組み付けとかをよくやる人に人気なのがこちら
ヘッドが銅になっているハンマーです。
アルミ部品が特に多用されているエンジン整備時に重宝するハンマーでして、鉄ハンマーでは怖いけどナイロンヘッドでは軽すぎるってな場合に使われてます。
少し特殊なハンマーとなりますが、まぁこういうのもあるんだって覚えておいてください。
ちなみに今回紹介しているPB社のハンマーですが『無反動』というシリーズになります。
無反動ハンマーの特徴は当店のブログで詳しく解説してますのでそちらを読んでみてください。
・「無反動ハンマーの効能」
ハンマーと組み合わせて使う
このように整備向けにキチンとしたハンマーを用意し使えるようになると「叩く」作業がかなり楽になります。
そして叩く作業が出来るようになるとそれに付随した便利な工具も使えるようになるわけです。
打撃系工具といえば…
加工時の必須工具であるセンターポンチとか、切り落としや破損したネジ・部品の切削に便利なたがね。
こういった工具類もプロメカだけの工具ではなく、持ってさえいればいざという時に活躍してくれます。
(この手の加工系工具に関してはまた別の機会に詳しく紹介します)
また緩まないネジ相手の作業時の重宝する
このようなショックドライバーも便利に使う事が出来るわけです。
整備の基本となるハンドツールの中では軽視されがちなハンマーですが、このように「使いやすく」と目指してみるといろいろ種類もあって面白いってのをご理解いただけたら嬉しいですね。
自分のトコのWebサイトでも日々いろんな工具を更新しております。
ブログももうちょい専門的なの書いてますので見てやってください。
Webサイト:https://www.abit-tools.com/
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