ダースポweb限定で連載する【Let’s DIY Transporter】。今回はバイクを固定する要となる「フックの取付け」についての後編です。前編はコチラからどーぞ!

本来は“無い”位置にフックなどをつけるためには、何かしらのアンカーが必要だ。よく使われるのは、ターンナットといわれる便利グッズ。直径10mmの穴を開けることができれば、これを使ってM6サイズのナットを鉄板裏に仕込むことができる。プロもよく利用している逸品だ。
また、それほどの強度を求めない部分であれば、もう少しカンタンな樹脂製のアンカーもある。バイク固定には不向きだが、跳ね上げベッドを固定するベルトの支持ぐらいならば大丈夫だ。

4〜5mm程度のビスを使用する、樹脂製のアンカー。下穴は8mmぐらいでよく、見た目以上に強度はある。とは言え、バイクを固定するにはもちろん不向き。ハンガーパイプやベッドキットなどの保持に使用されることが多い

4〜5mm程度のビスを使用する、樹脂製のアンカー。下穴は8mmぐらいでよく、見た目以上に強度はある。とは言え、バイクを固定するにはもちろん不向き。ハンガーパイプやベッドキットなどの保持に使用されることが多い

裏側に手が入らない場所でもナットを装填できる優れもの。M6〜M8ぐらいのサイズが一般的で、鉄板に穴さえ開けられれば、かなりしっかりしたフックを付けることができる

裏側に手が入らない場所でもナットを装填できる優れもの。M6〜M8ぐらいのサイズが一般的で、鉄板に穴さえ開けられれば、かなりしっかりしたフックを付けることができる

また、床にフックをつける場合、フロアパネルなどの板が敷かれていれば非常にカンタンな方法がある。それは、写真Cのような座付きのナットで板を挟んでし まうようにしてフックをつける方法。しっかりした合板であれば、床の鉄板まで貫通しなくても実はかなりの強度が期待できる。

写真のようにタイヤストッパー の台座と合わせて、力のかかる面積を広げるほど耐荷重も大きくなるぞ。

C-1

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C-2

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C-3

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C-4

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床パネルを敷く前に、板を挟んで裏面にナットを装填しておくと、その場所にフックを付けられる。写真のように、板の裏側から食い込むような座金が付いているので、共回りしてしまうことも無い。

上記のような方法で板の裏面にナットを装填できるおかげで商品化されているのが、タイヤストッパー付の延長フロアパネル。アルミ板の面積が広いので、ボルト2本でもかなりの強度があるスグレモノだ

上記のような方法で板の裏面にナットを装填できるおかげで商品化されているのが、タイヤストッパー付の延長フロアパネル。アルミ板の面積が広いので、ボルト2本でもかなりの強度があるスグレモノだ

ここからは直接的なバイク固定ではないが、「こういうフックがあると便利」という例を少しご紹介しておこう。本誌の「トランポ特集」でも紹介させていただいた、トランポプロ製のアルミフレームを利用したレールとリング状のフックをトランポのサイドボックスに活用した例。
転がりやすい空気入れやパラソルなどの長物を、ボックスに立てかけて固定したり、最後にかさばるラダーレールを、ボックス上や壁に立てかけて置くのに非常に便利で機能的。同社のタイヤハウスキャリアなどは、こうしたフックの延長にあるような商品だが、トランポ内でなかなかスッキリ収納できない物を実にシンプルに安価に整える方法として、参考になりそうだ。

トランポプロのアイテム例は?

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トランポのサイドボックスに、トランポプロ製のアルミレールやパイプを装着し、それにリングフックをつけることで、ボックス内ではなく、ボックスの表面を収納スペースにした好例。ケミカルや、空気入れ、ラダーレールなども、これなら安心だ。

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「タイヤハウスキャリア」といわれる商品は、トランポの使用方法とフックの活用を考えるのに大いに参考になる逸品。いつからか「トランポ=ベッドキット」のようなイメージがあるが、こういう物こそ即戦力として使えそうだ。

バイクの固定や積載方法には、ライダーそれぞれに一家言あると思うし、「絶対にこうでなければいけない」という正解があるわけではない。大切なのは、バイクや用品がしっかりと積載できることで「安心して、安全に自動車の運転ができること」だ。

こんな積載例もある!

良し悪しはあえてコメントしないが、最後にいくつかの積載例をご紹介しておこう。参考にしていただければ幸いだ。

大型バイクなので、ハンドルのほか、ステップ周辺も固定。ハンドルを固定している壁部分に、しっかりしたフックが付けられているところに注目

大型バイクなので、ハンドルのほか、ステップ周辺も固定。ハンドルを固定している壁部分に、しっかりしたフックが付けられているところに注目

荷室の前・中・後に、バイクと垂直にタイダウンフック用のレールが付けられているのが分かるだろうか? 床下への穴あけはかなり難易度が高いので、プロに任せるのが良いだろう

荷室の前・中・後に、バイクと垂直にタイダウンフック用のレールが付けられているのが分かるだろうか? 床下への穴あけはかなり難易度が高いので、プロに任せるのが良いだろう

アシストグリップを利用してしまう例。アシストグリップは樹脂成型品が多いので、このようにベルトを巻くのがベスト。金具を直接掛けると、ポキッと折れることがあるぞ

アシストグリップを利用してしまう例。アシストグリップは樹脂成型品が多いので、このようにベルトを巻くのがベスト。金具を直接掛けると、ポキッと折れることがあるぞ

オフロードバイクの場合、ハンドル部だけで固定しているライダーも多いと思うが、悪路で後輪が左右に跳ねることは無いだろうか? このようにリアタイヤをちょっと留めておけると、安定感が断然アップする

オフロードバイクの場合、ハンドル部だけで固定しているライダーも多いと思うが、悪路で後輪が左右に跳ねることは無いだろうか? このようにリアタイヤをちょっと留めておけると、安定感が断然アップする

こちらもアシストグリップ。やはりベルトを巻いているのが分かるだろう。ハンドルを下に引き、フロントフォークを縮める積み方も多いが、バイクを前進させる方向に引ければ、このように上に掛けても問題ない

こちらもアシストグリップ。やはりベルトを巻いているのが分かるだろう。ハンドルを下に引き、フロントフォークを縮める積み方も多いが、バイクを前進させる方向に引ければ、このように上に掛けても問題ない

バイクの固定、荷物の整理…。トランポは使えば使うほど「自己流」が生まれ、これがまた、素晴らしいアイデアに満ちている場合が多い。ここに挙げたのはあくまでも一例。「キチンと積んで、安全に走る」を心がけて、これからもバイクライフを楽しんでもらえれば最高だ!

■取材協力:オフタイム(広島県呉市)ダイワカーズ(広島県三原市)ブルーコーンズ(島根県浜田市)OSP(静岡県浜松市)

■TEXT/OSP高瀬裕之
「トランポプロ」シリーズなどを手がける株式会社OSP代表取締役。ダートスポーツ本誌のほうでも長くトランポ連載記事を担当して頂いた。その分かりやすい解説とアイデアに溢れたトランポグッズの開発などにも定評がある

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