ラリー中のガソリン補給は、競技を続けるなかで言うまでもなく重要事項です。具体的にどのように給油するのかというと、以下のように区別されます。
●パターン1:サービススタッフに補給してもらう
主にSS1終了地点のPITエリアで、チームジャパンサポート隊に補給してもらうパターン。ここではガソリン補給以外にも緊急メンテナンスや、ライダーの水分補給などをおこなう大事なポイント。サービス隊の方達の顔を見てホッと一息。そしてSS2に向けて再び旅立っていくのです。
かつては個々にガソリン代をサービス隊に支払っていましたが、現在は一律で支払います。サービス隊はスタンドでガソリンを補給しておいてくれるのです。
昨年からはタフジャグを導入して、迅速な給油が可能になりました。中央自動車大学校の方たちもサービス隊として活動してくれます。早朝からここまで集中しながら走り続けてきたライダーにとっては、PITサービス隊の笑顔はまさに癒し。
●パターン2:自分で入れる
SS2を終えたあとにも、先回りしたサービスPITがあって、まだスタッフがいるようなら(大きく遅れると撤収されている可能性もあり)そこで、ホテルに帰るためのガソリンを入れてもらいますが、ライダーはわりと頻繁にガソリンスタンドに寄り、自主的に入れることも多いです。コマ図のマップにスタンドが記載されているので、毎朝どこで給油するか、前夜のうちに決めておきます。
朝ホテルをスタートして、SS1スタート地点に行くまでのリエゾンでスタンドに寄るパターンや、その日ゴールしてから翌日用に、スタンドで先に入れておくパターンなど、その場に応じて給油します。
次に問題となるのは、ガソリンの質ですね。
ちなみにタイのガソリン価格は日本とさほど変わりません。
ここで日本と海外のオクタン価設定の違いについて。
ハスクバーナの指定オクタン価は95。
アメリカや日本を除き、ヨーロッパなど世界基準ではこの「95」が日本でいうところのレギュラー的な扱いのガソリンです。
しかし日本でいうレギュラーは88-92ほどのオクタン価であり、95が存在しません。
日本のハイオクは98-100という、ヨーロッパでいうところの、洗浄剤が含まれるプレミアムをさします。このあたりがややこしくなるのですが、ようするに、タイ、カンボジアで販売されている「95」を入れておけば、問題ないということです。
日本国内でスポーツバイクにハイオクを入れるというのは、この95が存在しないからなんですね。そう考えると国内ガソリン事情(ハイオクを使う人にとって)は、割高感がいなめない、、、。
話は戻り、万が一ハイオクがない場合は、必要最小限にとどめておいたりすることも必要です。
問題はやはりカンボジア。
私は2014年にカンボジアステージをノントラブルで完走しているので心配はしてませんが、知識は改めて入れておくにこしたことがなく、、、。
主催者がエントラントに向けて発信された情報によると、、、。
「カンボジアでの給油は大方問題がありませんが、信用できる順は次の通りです。
値段の安いガソリンスタンドは控えましょう」
TELA 〉 TOTAL・CALTEX・PTT 〉 TERA POT 〉 DEPOT TERA 〉 量り売り 〉 ビン・ペットボトル
とあります。
Photo/M.Takahashi 高橋学
もっとも信頼性の高いスタンドのTELAですね。
これが量り売りガソリンです。
そして最下位ランクのペットボトルガソリン。カンボジアへ行くと街も村も、どこでも軒下にこの黄色い液体が売られています。最初はなんで、どこの家でも黄色いジュース売っているのだろうと思っていました(笑)。
かくいう私も2014年、このガソリンを入れました。
最長SSでは村の途中で補給しなければならず、エイヤっと注入!
もちろん満タンにはせず、数十キロ先にスタンドを見つけた時点で追加給油しましたが、エンジンも問題なく回り完走できました。エピソードとしては面白いですけど、エンジンが止まったら泣くに泣けないですから、一安心。
とはいえ油断はできません。今年もこの液体を使わなくて済むようにマネジメントしなければいけないかもです。
ちなみにタイのガソリンですが、
「E20」
「91」
「95」
とありますが、選ぶべきが、先述どおり「95」。「91」は日本でいうレギュラーですね。
しかし、やっかいなのが「エタノール率」。
同じ「95」でも、「ベンゼン95」とよばれるのはハイオク、「ガソホール95」はバイオエタノールが10%混合されたハイオクです。
ですが、下記に記載しましたが、ハスクバーナはE10対応なので、「95」を選んでけば大丈夫でしょう。
さて、今回私が乗るFE501には付いていない機能が、701ENDUROにありますのでご紹介を。
そもそもオクタン価が低いガソリンは、なぜ避けるべきなのか。
それは『自己着火が速く、異常燃焼してしまうから』です。デトネーションなどのリスクが高まります。
カンボジアのビン入りガソリンは、オイルシールなどを傷めるエタノール含有率が高い可能性があるのですが、ハスクバーナの使用ガソリン基準値は『E10』。
これは「エタノール含有率が10%まで大丈夫』という意味です。
701ENDUROは、やはり世界のあらゆる道を走ることを念頭に開発されているのか、「低質燃料モード」があるのです!
ガソリンの質を気にせず大陸を旅する。シルクロードを走破する、、、。
そんな冒険、ロマン、夢が701ENDUROならば実現できそうですね。
このダイヤル「0」が低質ガソリンモード。点火時期を調整、異常燃焼を防いでくれます。
ちなみに「2」はスポーツモード、「1」はレインモード、「3~9」はスタンダードとなっています。
FE501に低質燃料モードはありませんが、二重のフューエルスクリーンは安心材料の一つ。こちらはFI搭載車ならば車種問わず装備されているおなじみ燃料フィルター。燃料ポンプを保護するためのものです。
そしてこちらが小サイズのスクリーン。インジェクターの詰まりを防止します。こちらはクイックリリース可能なので、私は念のために毎日交換します。不純物対策として安心。
取材協力は日本人ライダー(もちろん全メーカー対応してくれます)の強いサポート隊、ハスクバーナ東名横浜の大崎店長でした!
この記事の著者について
最近の投稿
- 未分類2024年12月20日ダートスポーツ2月号お詫びと訂正
- 未分類2024年5月24日『DIRTSPORTS』7月号発売延期のお知らせ
- MOTOCROSS2024年3月26日頑張れ!! 全日本モトクロス応援HANDBOOK お詫びと訂正
- ENDURO2023年7月31日ハードなロックセクションで光る、2024 TE/FEシリーズの実力