ダースポweb限定で連載を開始する「Let’s DIY トランスポーター」。
第1回は、トランポのベースとなる車輌本体を考察するところから始めてみよう。

1.トランポイメージ

トランポにハイエースは必須か!?

今回は、この問いにはあえて「NO」と答えたい。

ハイエースやキャラバンのクラス、つまり4ナンバー小型貨物の最大枠の車があればそれは良いに決まっているが、実際にはどの程度が自分の理想に近いのか、あえて、ハイエース/キャラバンにとらわれずに考えてみよう。

ハイエースが良いのは当然だけど…

ハイエースが良いのは当然だけど…

その気になれば軽箱で充分!? 案外ミドルクラスもオススメ

トランポとして、意外なほど使えるのは軽の箱バン。
「それよりも軽トラだろう!」というご意見は、バイクショップで軽トラが大活躍しているのを見れば分かる通り大正解なのだが、今回は「趣味性」を重視して、あえて、軽トラは外させていただきたい。

…ということで、軽ボックスの中でも、出来ればワゴン(5ナンバー)ではなく、バン(4ナンバー)のほうを推したい。

理由は、内装が簡素で汚れても気にならないから。
また、人が乗ることをほとんど想定していないセカンドシートもワンタッチで床下に収納できるので便利。

維持費が安い、燃費が良いなど、「2人乗りまで」と割り切れるなら最高だ。

バンの軽ハコがオススメ!

バンの軽ハコがオススメ!

後席が邪魔にならないのが良い!

後席が邪魔にならないのが良い!

…と、軽ハコを推しておきながら、すぐに違うことを言い出して恐縮だが、実は「このあたりが良いんじゃないか?」と思われるのが、ハイエース/キャラバンよりひと回り小さい、ミドルクラスのバン。

トヨタならタウンエースやライトエース、日産ならNV200あたり。あまりコースでも見かけないが「2人乗りに割り切る」という軽ボックスと同じ条件付であれば、非常にオススメ。
このクラスになれば、走りも良いので、長距離遠征もラクで、完全にファーストカーとして使える。

そのうえ、
・燃費も良い(EVもある!)
・車の値段が安い(EVは高いが…)
・取り回しがラク
・乗っている人が少ない
・案外デザインがオシャレ
・ハイエースより盗難にあいにくい
・荷室幅は広いので(ハイエース並み)けっこう積める

ミドルクラスのバン

ミドルクラスのバン

実はメリットが多いミドルクラスバン

実はメリットが多いミドルクラスバン

それではミドルクラスのトランポ作例を、ちょっとハイレベルかもしれないが、DIY的な観点も交えて見てみよう。

題材はトヨタのタウンエース。
本格的なベッドキットも付いたハイエンドな内装を持つトランポだ。

★床張りが簡単
ハイエース/キャラバンに比べて、荷室幅は遜色ないものの荷室全長は短いので、床張りをするときの板が小さくて済むのがありがたい。
ホームセンターで売っている板の定尺は900×1800mmがほとんどで、このサイズなら値段も安い。

ミドルクラスのトランポなら、床貼り加工に使う板材が小さく、安く済むのだ。

床板は定尺で足りる

床板は定尺で足りる

★サイドボックスを作るのも簡単

このクラスは商用に割り切っているものが多いからか、ハイエース/キャラバンに比べ、グレード展開が少なく、リアヒーターやリアスピーカーなどの贅沢な装備がないため、荷室側面が比較的フラット。

壁がフラットだと、サイドボックスが作りやすい。DIYでトランポを作る時に一番面倒くさいのが、車の「型取り」だと思うのだが、今回のタウンエースのトランポはほとんど真っ直ぐな板だけでサイドボックスを作ることができた。

サイドボックスを作るのも簡単

サイドボックスを作るのも簡単

★その割に広い
「セカンドシートを畳めば…」という条件付だが、タウンエースでも2m近い荷室長を確保できる。

軽ボックスと同様「2人乗りに割り切れば」、フルサイズ2台積みも全然オッケーな広さがあるのだ。

またトヨタのタウンエース、日産のNV200に共通するのは

「タイヤハウスの凸が小さい」
「案外荷室幅が広い」

ということ。
このメリットを生かせば、ハイエースに対して優越感を抱けるようなトランポを作ることもできそうだ。

その割りに広い!

その割りに広い!

★その気になれば本格的にも!

ハイエースやキャラバンでは、“最上級”のトランポ内装として定評のある「両面跳ね上げベッド」をタウンエースに装着してみた。これがなかなかにジャストフィット。

テーブルを外して左右のベッドを跳ね上げれば、フルサイズのオフ車1台なら楽勝で積める(もちろん、セカンドシートは畳む)。

そして、写真のタウンエースの場合
車輌本体:約80万円(中古車 4万キロ)
内装全部:約50万円(もちろん、新品オーダー品。しかもサブバッテリー100V電装まで付けた)

ここまでやっても安い!

ここまでやっても安い!

これは快適そう…

これは快適そう…

ミドルクラスバン、侮れなし

ミドルクラスバン、侮れなし

ここまでやって全部合計しても、乗り出し150万円でおつりが来る。

ハイエースだったら、10万キロの中古車がようやく買えるか? という金額だ。

どうだろう!?
ミドルクラスのバンをイチオシしたくなる気持ち、分かっていただけるだろうか?

■取材協力/OSP

■TEXT/OSP高瀬裕之
「トランポプロ」シリーズなどを手がける株式会社OSP代表取締役。ダートスポーツ本誌のほうでも長くトランポ連載記事を担当して頂いた。その分かりやすい解説とアイデアに溢れたトランポグッズの開発などにも定評がある

Follow me!