2014年8月23日(土)24日(日)に宮城県スポーツランド菅生西コースで開催されたSMJ全日本スーパーモタード第5戦に参戦した、S1PROクラス#8坂牧隆夫選手より参戦レポートを頂きました(PHOTO/ATSUSHI KURATA)

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第4戦(TSタカタ)を欠場したため、約2か月ぶりの全日本です。スポーツランドSUGOは、PROクラスで初入賞した場所であり、目指すは表彰台! と意気込みますが、今年はダートコースが大きく変更されるとの一報を受け、期待と不安が入り混じりながら現地に向かいました。しかし、タイムアタック9番、第1ヒート9位、第2ヒート12位と、気合が空回りする結果となりました。
現地に到着してみると、得意とする高速コーナー(第1〜3コーナー)が閉鎖され、2コーナー横の急斜面を使った大きな左バンクの第1ダートと、3連のフープスがある第2ダートが新設されていました。

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第1ダートは、ターマックからダートへ進入する所に小さなポコジャンプと、急斜面を左に弧を描くバンクで形成されていましたが、この斜面へのアプローチがあまりにも急角度なため、速度を残して進入すると、ハンドルを通して強い衝撃が生じる難しいセクションです。しかし高さのあるバンクを抜け、土煙を上げて下っていく様は迫力があり、なかなか面白い!
第2ダートは、他のコースでは見られなくなった3連のフープスが設置されました。フープスを抜けると鋭角に左へ曲がるコーナーがあり、3つ目の山では減速を開始しなければならず、ジャンプからの接地の衝撃で車体が跳ねあがるため、ブレーキングが困難です。しかし、モトクロス出身のライダー達はこのフープスをものともせず、まるでタイヤが路面に吸い付くように車体を安定させて走り抜けて行き、テクニックの差が大きく出る難易度の高いレイアウトです。

練習日の朝にピット設営している時、突然背中に痛みが走り、中腰姿勢が取れなくなってしまいました。後日、疲労による筋膜炎と診断されましたが、今回のレースはこの痛みのコントロールもしなければならず、苦手意識の強いダートコースの攻略に手を焼くことになってしまいました。

土曜の4本の練習走行は、1年ぶりに走るSUGOのターマック部のライン確認をおこなった後は、主にダート区間の攻略に集中して取り組みました。第1ダートは各ライダー様々な走り方があり、ライン取りもスピードもバラバラです。自分はと言うと、ポコジャン直前から斜面を登り切るまでリヤブレーキをロックさせて急減速する方法を見つけたので、第1ダートには他のライダーより速度を残して進入することが出来るようになり、パッシングポイントとして使えそうです。しかし、第2ダートの走り方が見つかりません。フープスを1個1個舐めて通過しようとするとスピードが足りず、速度を上げればマシンが縦に跳ねて暴れてしまいます。2連で飛べば減速が間に合わず、結局この第2ダートを攻略することが出来ないまま、決勝日も苦しめられることになりました。

■決勝日
決勝当日、天候は快晴! で少しヒンヤリとした風も吹き、心地のよい朝です。背中の痛みは昨夜のうちに針治療を受け大分痛みが治まりました。そしてピットクルーの瀧田さんが、マシンの上げ下ろしなど背中に負担のかかる作業を一手に引き受けてくれたおかげで、レースに集中することが出来ました。朝のブリーフィングで、今回新設された第1ダートは、スタート後の混乱を避けるため決勝の1周目はキャンセルする事が通知され、得意とするSUGOの高速コーナーが使える1周目が勝負所となりそうです。

■練習走行
練習走行は、中古タイヤながらこの第1ダートをキャンセルしたレイアウトで6番手タイムとなり、まずまずの滑り出しですが、タイムアタックでは皆ペースが上がる事が予想されるため、油断は出来ません。

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■タイムアタック
前後新品のミシュランモタードスリックを装着し臨んだタイムアタック。新品タイヤの強烈なグリップのおかげでターマックのペースが格段に上がりましたが、第2ダートの走り方が定まりません。試行錯誤を繰り返しますが、暴れるマシンを抑えることが出来ず、結局9番手でタイムアタックを終えました。

■第1ヒート
迎えた第1ヒート、各車一斉にきれいなスタートを切りました。1周目は第1ダートを使わないため、得意の高速コーナーをハングオンスタイルでコンパクトに回り、9番手から5番手へ一気にジャンプアップすることに成功です! 続く第2ダートでは離されまいと踏ん張りましたが、ダートを出ると僅かに差が開いてしまいました。しかし、ターマックセクションで巻き返し前車に張り付きます。
このレース、目標を達成(表彰台)するためには、なんとしてもダートで離される訳にいきません。2周目に入り第1ダートへの進入は、前日に掴んだリヤブレーキロックによる急減速が決まります! ここで、トップを走っていた地元仙台の英雄、森田一輝選手がバンクで勢いよく転倒してしまいました。幸いラインを外れるように転倒したため大きな混乱も発生せず、レースは続行されます。順位は4番手に上がり、俄然気合いが入ります。トップの野左根選手、佐合選手、三苫選手に続いて、第2ダートに進入するとフープスで暴れるマシンをなんとか抑え、トップ3台に離されまいと食らいつきます。ダートを出ると直後に右へ鋭角に回り込むため、リヤブレーキを多用してコンパクトに向きを変え、加速体勢に移ったその瞬間! ターマックに出たダートの土に乗ってリヤタイヤがグリップを失い、マシンがくるりと180度旋回して転倒してしまいました。マシンに足を挟まれ、もがくように抜け出すと、すでに最下位に転落です。
「やってしまった」

せっかくのチャンスを自らの失敗で逃してしまいました。フロントが捻じれてしまい左右の旋回率が違いますが、ひとつでも順位を挽回しようと必死で走ります。最終ラップ、転倒により順位を下げていた増田選手に追いつき勝負を仕掛けましたが、抜くには至らず9位で第1ヒートを終えました。

■お昼休み
8月2日に開催したLOVE+MOTARD(過去記事参照:http://www.zokeisha.co.jp/dirtsports/archives/9300)の参加者の方が観戦に来られていて、嬉しいことに声を掛けてくれました。第2ヒートでの雪辱を約束します。お昼を回り、併催のエリア選手権の決勝が開始されると、ホームコース桶川スポーツランドで一緒に練習している仲間達が死闘を演じ、観ている自分も気合いが入ってきました!
S-2クラスの決勝中から雲行きが怪しくなり、気象情報を確認すると雷雲が近づいて来ており、直ちにレインタイヤの準備を始めました。(今回、国内でレインタイヤの在庫が無い中、オートスタジオスキル様のご協力により、新品のミシュランモタードレインを用意することが出来ました)
S-2クラスの表彰式の頃から雷が鳴り響き、ついに土砂降りとなってしまいました。コースには川のような水が流れ始め、S-1 OPENクラスの決勝を30分遅らせると共に、ダートがキャンセルされることが決まりました。
正直雨は好きではありませんが、転倒者が続出する荒れたレースとなったS-1 OPENクラスでは、LOVE+MOTARDで講師を務めてくれたランキングトップの金子選手が優勝を決めたのを見て、しっかり走りきれば自分にもチャンスはあると心を入れ替えました。未だ第2ダートの攻略が出来ていない自分にとって、今回は恵みの雨となりそうです!

■第2ヒート

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コースコンディション確認の為、3周の練習走行がおこなわれました。すると、これまで経験がない程に路面が滑りやすく、とても慎重に走らなければなりません。他の選手もこの滑りやすい路面に苦労しているようで全くペースが上がりません。
迎えた決勝、8番手スタートの増田選手がロケットスタートを決めて5番手に順位を上げる中、自分は順位キープの9番手です。得意の高速コーナーもラインを外すリスクを避け、一列にならざるを得ません。増田選手を先頭に5台が連なりセカンドグループを形成しますが、なかなかペースが上がりません。滑りやすい路面に仕掛けるタイミングもなく、2周、3周と我慢の走行が続きます。
トップ4台が離れていく中、しびれを切らして4コーナー進入で外側に降ってパッシングを試みたところ、ラインを外した瞬間にリアがグリップを失い、叩きつけられるように激しく転倒してしまいました。
激しい転倒にも関わらずレーシングスーツ(PRIDE ONE)のおかげで負傷を免れ、レバー類もハンドガード(ZETA)のおかげで損傷を免れましたが、またしてもフロントフォークが捻じれてしまい、真っ直ぐ走ることもままなりません。途中、金児伸二選手の転倒により順位を上げるも、ペースを上げられずに交わされてしまいました。最後は9位争いの集団に追いつきましたが、結局12位という残念な結果でレースを終えました。

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■レースを終えて
PROクラスに上がってからは、自分自身の実力以上の走りを求める為に転倒率が高く、結果に繋がらず悔しい思いをしてきました。しかし、前回の第3戦では入賞(5位)こそしましたが、守りの走りをしたことで4位の選手から大きく遅れてしまい、とても複雑な思いをしました。やはりPROクラスで走る以上、トップと競り合う速さを身に着けなければならず、その為にはもっともっと努力が必要なようです。
また、前日に痛めてしまった背中については、疲労の蓄積による筋膜炎ということで、基礎体力が低下しているのが原因と思われ、私自身のレースに臨む姿勢について今一度見直さなければならないようです。後半戦での巻き返しを図れるよう、日々努力してゆきたいと思います。

 

■プロフィール
S1PROライダー
所属チーム:STELTH FIGHTER Club MotoRoman
#8 坂牧隆夫(さかまきたかお)
ライセンス区分:MFJスーパーモタードA級
生年月日:1972年6月15日
居住:埼玉県さいたま市
2013年 全日本スーパーモタード選手権 S1PROクラス ランキング8位

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